善玉菌と悪玉菌
この季節にもみじでもないけど、ずっと現像しわすれていたフィルムから。
ところで、この世界に存在するさまざまな菌を、善玉とか悪玉とか差別するのは、
菌に対してとても失礼なことだとずっと思っていた。
そういう水戸黄門的な単純な思考パターンは、どうもわたしの複雑な頭にはなじまない。
と思っていたら、フェイスブックでこんな記事を見つけて、
やっぱりね、と思った。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
(以下、吉冨信長さんのFBからコピペ)
2015年12月25日
狩猟採集民の腸内細菌
最後の狩猟採集民と言われているタンザニアに住むハッザ族の、腸内細菌を調べた研究があります(1)。
この研究は、ハッザ族と、近代的な欧米人(イタリア)を対象にそれぞれの腸内細菌を比較したものです。ハッザ族は世界で最も健康な民族と称する学者もいるほど、私たち現代人のような生活習慣病や免疫疾患がほとんどありません。(2)
一般に、健康的な腸内細菌叢は善玉:日和見:悪玉=2:7:1などと言われています。しかし、ハッザ族の腸内細菌叢は私たちの想像を超える独特な特徴がありました。
まずハッザ族は、対照群である欧米人と比べ、とても多様性の高い腸内細菌叢を形成していました。ハッザ族の細菌の22%はいまだ分類すらされていない未知のものであったのです。
この多様な細菌叢にもかかわらず、私たち現代人にはおなじみの善玉菌を代表とするビフィズス菌がほとんど存在していませんでした。腸内細菌学者によるとビフィズス菌は私たち人間の健康を保つのに必要不可欠な細菌であるといわれています。ビフィズス菌は乳児の時に母乳で摂取・曝露することができ、生後の数か月の腸内細菌叢の大きなシェアをほこる菌にもかかわらずです。研究者らは、狩猟採集民にビフィズス菌がないのは、ビフィズス菌は牧畜民や農耕民由来の食品に存在するものではないかと推測しました。
さらに、現代科学の通説ではさまざまな疾患を生み出す原因とされる悪玉菌がハッザ族にとても多く存在していました。クローン病や過敏性腸症候群などの疾患に関係があると言われているトレポネーマ菌や、梅毒・フランベジアを引き起こす細菌などが豊富に存在していました。トレポネーマ菌は病原性の日和見菌です。
そして、何より研究者らを一番驚かせたことは、興味深いことにハッザ族の男性と女性ではそれぞれの腸内細菌叢の組成が違っていました。これは、女性の方が男性よりも多くの植物食品をよく食べているからだと結論付けました(3)。
ハッザ族は意外にも動物性より植物性食品を摂取する量が多かったため、細菌叢はファーミキューテス類のシェアが大きかったようです(4)。
腸内細菌が代謝してできる短鎖脂肪酸の組成においても、欧米人と比べ全く異なるものだったのです。細菌によって生成される脂肪酸は主にプロピオン酸でした。(5)
これらの結果をまとめると、①生活している風土や食性で腸内細菌が変わるため、どういった形成層が良いというのは一概に言うことができない。②一般に悪玉とされている菌を健康体の人が高いレベルで保有していることから、一概に分類することはできない。③狩猟採集民の腸内細菌叢は大きな多様性を持っている。④腸内細菌の多様性を多く持った方が健康体である。
近代人が、狩猟採集民を近代生活の中で完全にコピーすることは不可能ですが、何かのヒントになるかもしれませんね。
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※1 Stephanie L.S et al,2014 Gut microbiome of the Hadza hunter-gatherers
※2 ハッザ族の食事は植物性食品が比較的多く、肉、蜂蜜、バオバブ、果実、塊茎、牧畜民から物々交換したミルクなどを食べています。
※3 女性の方がトレポネーマ菌が多く、男性はユーバクテリウムが多かったのでした。
※4 一般に、植物性食品(繊維質)を多くとるとファーミキューテス類が優勢になり、動物性食品を多くとるとバクテロイデス類が優勢になるといわれています。
※5 これは短鎖脂肪酸です。また、草食動物の腸内で生成される脂肪酸です。
※参照:
http://www.mededge.jp/b/heal/10055
http://www.mededge.jp/b/huap/4712
http://www.nature.com/…/140…/ncomms4654/full/ncomms4654.html
http://www.natureasia.com/ja-jp/research/highlight/9237
http://kellybroganmd.com/article/origins-microbiome/
http://www.wired.com/…/hadza-hunter-gatherer-gut-microbiome/
など。
(コピペここまで)
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菌そのものが善いとか悪いとかではなく、
この世に存在する菌はすべて意味のあるものであって、
その菌が存在する状況や他の菌とのバランスによってさまざまな働きをするのだと思う。
ピロリ菌も、O157も、大腸菌も、黄色ブドウ球菌も、連鎖球菌も、ノロウィルスも、真菌も、
あなたも、わたしも、
みんなこの世界に必要なものなのだ。
※腸内細菌のバランスの乱れが、喘息を悪化させるメカニズムを解明
興味深い研究だけど、その結果から出てきた解決策が、
結局はある菌を抹殺することであるというのは残念だ。
ある菌を抹殺すれば、別の菌がのさばり、それを抹殺すればまた別の菌がのさばるというように、
これではきりがない。
そもそもバランスが乱れた原因を正していくことしか、解決策はないと思うのだけど。
※脳出血まひ、回復の「道」判明
傷ついた神経は再生しないといわれていたけれど、
その説も疑問視されるようになっている。
たとえ死んだ神経が再生しなくても、
生きている神経をつかって代わりの回路ができあがるのなら、無限の可能性がある。
これはもしかしたら精神機能についてもいえるかもしれない。
脳出血によって記憶力・理解力・計算力などが失われた人も、
リハビリによって代わりの回路ができあがるかもしれない。
生物の可能性はほんとに未知だ。
※軽トラの荷台に“家”
これはいいなあ。
でもまずは運転免許とらなきゃ。
by homeopa
| 2016-01-15 11:10
| 自然のちから