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listen to your body

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引っ越しのあいだもいつもバッグの中にあった本。
         
骨盤にきく―気持ちよく眠り、集中力を高める整体入門 (文春文庫)

ハウツー本だと思って買ったけど、
とんでもなかった。
薄くて小さい本のなかに深い智恵が詰まっている。
30年の経験から生まれた深い智恵。
うんうんと激しくうなずいたり、ほおーっと感心したりしながら、幸せな気持ちで読んだ。

なおかつハウツーもいける。
その部分が気になる方には本を買っていただくことにして、
最後に感動した部分をここに写しておこう。


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内側から湧いてくる身体感覚は、身体を超えて外側に向かって拡がりを持っています。
周りの人たちや環境に連続してつながっている。
目に見えない 「触手」 のように拡がっているといってもよいと思います。
その触手の感受性=空間感覚の違いが 「体癖」 ともいえます。
身体同士は互いに干渉し合い、また強調・共鳴しており、
独りで存在するわけではない。

整体とは、この身体間の反応をうまく共鳴的に作用するように調整するということでもある。
その前提がなければ触れているだけで、あるいは触れていなくても、
背骨が自ら動くという反応は起きません。
この反応を意識化・技術化しているのです。

逆にいえば、整体でなくても日常的な 「触れ合い」 の中で、同様なことは自然に起きています。

自己というのは、身体と身体の間に、互いの反応の中に生まれるものです。

それは日々刻々生まれ続けるものです。
骨盤が季節や成長や病気などで変化し続けるのと同様、私たちの自己も常に変化しています。
身体は関係性の上に成り立っており、私という心の生みの場所は、
他ならぬ身体以外の何ものでもないからです。  

そういう意味で、私たちはもっと柔らかい自己像を持つ必要があるでしょう。
変化する自己を受けいれる余裕を持つのです。

それは、「いま・ここ」 を生きる、生き物としての自分になるということでもある。

昔から 「無我の境地」 と言われるのは、集中して静かで雑念のない状態でした。
呼吸は深く、骨盤が深く息をしている。
つまり、自分と身体が 「身ひとつ」 になっている 「身がまま」 の状態です。

そんなとき、身体感覚は内側からのびやかに拡がり、
周りの人や世界につながっていくことができます。




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人は何か違和感があるとき、無意識に 「首をかしげ」 ます。
「首をかしげる」 のは、「耳を傾ける」 姿勢です。
何を聴くのかといったら、自らの身体の反応を感じとろうとしているのです。
人間には 「生き物としての気持ちよさ」 を超えて、過剰な欲望・興奮を求める傾向があります。
欲望を堀り起こすことによって成り立つ今日の消費社会ではなおさらです。
だからこそ、自らの生き物としての内側の声に耳を傾けることがますます大事になってきていると思うのです。
食べること、住まうこと、着ること、働くこと、眠ること、
いろいろな場面で 「身体の居心地」 を確かめてみましょう。
本当の気持ちよさは静かで、無重力的で、手応えがないものです。




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整体の仕事をしていると、時として 「奇跡の治療」 を期待されることがあります。
「奇跡的治療」 に見える場合があることは確かですが、
それはあくまで当人にそういう力が潜在していたというだけの話です。

私も整体をはじめたころは、「ぎっくり腰」 などをその場で一発で鮮やかに治す
というようなことに喜びを感じていました。
しかし経験を重ねるにつれ、もっと長いスパンで身体の動きを観るようになってきました。
「ぎっくり腰」 も、あわてて 「治す」 よりも、痛くて動けない状態をまずは認めて、
おとなしく 「寝ている」 ことで自然に治ってゆくのが一番よいと考えるようになりました。
整体という技術は、身体という奇跡にとっては、ほんのわずかな手助けです。




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自分自身の身体の声をきいてみてください。




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私という生はどこに向かおうとしているのか、何を求めているのか――答えはすべて身体が知っています。
心静かに耳を傾けるとき、深い呼吸の中から自然に湧き上がってくるものなのです。

「聴く」 ということは、受動的なようでいて、実は能動的です。
それは響き合おうとする主体的な姿勢です。

生きているということは、
体中の細胞や器官が互いに響き合おうとする――全体としてより良く共鳴しようとする過程そのものなのです。
身体の内側の響きは周りの人や世界にも拡がり、響き合うことによってより良く生きることができる。

身体がよく響いているとき、
その響きは深い呼吸とともに骨盤の底から湧き上がってきます。

答えはどこか別のところにあるのではなく、常に身体の内にある。



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ちなみにこの著者の行う整体法では、
たとえば骨盤がある方向にゆがんでいるとすると、
それを正す方向ではなく、ゆがみと同じ方向に、
手でほんの少しかるーく触れるらしい。
そうすると身体が自ずと動きはじめる。

て、ホメオパシーの同種の法則 (同じ方向) と、極微量の法則 (かるーく触れる)に、
そっくりではないか。





Sigur Rós - Andvari ♪





※Project 99%が応援する立候補者リスト
by homeopa | 2012-12-10 08:38 | 身体のこと