pimboke6

watage

watage_b0170947_17402118.jpg

     watage と入力しようとして、hanage と入れてしまうのは、なぜ?

     昨日の朝の散歩の収穫です。
     小さな商店と住宅が並ぶ通りにひとところだけ何もない空き地があって、
     そこにモクモクと生い茂る緑の草と、たんぽぽが。


watage_b0170947_17412144.jpg

     まだあまり人も通らない時刻に、
     寝間着としか呼びようのない服を着た、寝ぼけ顔の、50代くらいの、挙動不審の女が、
     空き地の草むらにワシワシワシと分け入ってしゃがみ込み、
     カメラを目に押しあてて、あちらから、こちらから、
     ひたすらタンポポの綿毛を撮っている姿は、
     だれにも迷惑はかけないけど、 サワヤカではないわね、すみません、ご近所の方。




     フィルムを月に1本使うの会に入会してから、
     会員の方たちのすばらしい写真を見ているうちに、
     もっとうまく撮れるようにならなきゃ、みたいな欲が出てきて、
     いつの間にか写真を撮るのがあまり楽しくなくなっていたことに、
     最近、気づきました。

     ああしなきゃ、こうしなきゃ、こういうのを撮らなきゃ、こんなのつまらない、
     ここで撮らなきゃ、さっき撮ればよかったのに、どうして撮れないのーー!!

     前は日々の生活で出会うものをいきあたりばったり撮って満足していたのに、
     最近は、人間も撮らなきゃ、かっこいい街の風景も撮らなきゃ、何か特別なものを撮らなきゃ、
     と思ってこのあいだなんか、
     上野のアメ横まで出かけていったけど、
     ちっとも楽しくなかった。
     アメ横は好きだけど、そこでカメラをいじることが楽しくない。
     立ちどまれば人の邪魔になるし、
     撮ろうと思った人はすぐにいなくなるし、
     撮ったら悪いかななんて無意識にブレーキかけちゃうし。
     なんか落ち着かないんです。

     でも昨日、この綿毛を撮っているときはちがいました。
     どこかでのどかに鳥がさえずる声がして、
     まだ汚れていない空気がすーっと鼻から流れこんできて肺をふくらませ、
     ゆっくりと息を吐きながらフォーカスリングをまわすと、
     結ばれた焦点にかわいらしい綿毛がくっきりと姿をあらわす。
     あれまあ、ウツクシイ。
     そこで少し息を止めて、カッシャン!

     早くしてよ、なんていう人はいないし、
     そこ邪魔だよ、なんていう人もいない。
     わたしと綿毛が好きなだけ時間をかけて、呼吸だけで会話する、
     至福のひととき。

     わたしが写真を撮るときに感じていたシアワセは、
     シャッターを切るまでのこのプロセスにあったんだと思いました。

     もちろんその結果として思いどおりの、または思った以上の写真ができれば、
     それはそれでうれしいし、
     それを人にほめられたりすれば、
     いい気分ではあるけれど、
     それは一番のシアワセはないんだな。

     結果にこだわってがんばっているうちに、
     気がついたら人生が楽しくなくなっていたってことが、
     いままで何度あったことか。

     よかった、気がついて。
by homeopa | 2010-05-03 16:43 | 植物