pimboke6

鉄塔

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むか~し、鉄塔が主人公の絵本を読んだことがあったけど、
なんだったかな。
鉄塔がくねくね動いたり、歩いたり、話したりしていたんだけど。





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いや、ちがうな、あれは電信柱だった。

鉄塔、電信柱・・・・なんだか匂うぞ、と思って調べてみたらやっぱり!
どちらにもオタクが存在しました。


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とくに鉄塔オタクのこのブログには少しはまりました。
その名も「毎日送電線」。
http://d.hatena.ne.jp/sarumaruhideki/

まず目に飛びこんできたのは、
ブログの管理人さんがつくったらしい2冊の本。
題名は「東京鉄塔」と「ドボクサミット」っていうんだからドキドキしちゃいます。
オタクの世界の美的センスはよろしくないという偏見があったけど、
この2冊の表紙はどちらもわたし好みです。

つらつら読みすすんでいくと、いろいろわかってきました。
小田急線とか井の頭線とか、電車の線路に名前がついているように、
電線にも「なんとか線」という名前がついていて、
その線をつなぐ鉄塔に1号、2号と番号がついているようです。
オタクさんたちは、なんとか線をずーっとたどって歩いて、
1号、2号と、ひとつずつ鉄塔を鑑賞していく。
山の中の道のないところだってノシノシ歩いて入っていく。

その観察記録がまたおもしろい。
やっぱり好きなものを見る人の目には、
無関心な人の目には見えないものがたくさん見えるのだと、
あたりまえのことですが、感心します。

ちなみに、こんな感じ。
「平成に入って建て替えられた鉄塔だが中富線のコックさんはなかなか味がある。帽子がとてもひしゃげていて、一番上の腕金の中に埋まった“埋まりコックさん”。精悍なのに肩をすくめて好きな形だ」
鉄塔とコックさんが、
しかも生き埋めになったコックさんがどう関係あるのかわからないけど、
帽子をはすにかぶって生き埋めになったコックさんに対する愛情はよく伝わってきます。

うって変わって、風流なのもある。
「100号は丘の端の荒れ地の中に立っている。その背景に青く低い山がかすんでいた」
荒地にひとり立つ鉄塔をほれぼれとひとり眺めている芭蕉のような後姿が目にうかびます。

さらにおもしろい発見。
鉄塔の4本の脚でかこまれた四角い空間は、
「結界」と呼ばれているようです。
結界とは、聖なる領域をくぎる境界線、ある種の力のおよぶ範囲を示すもの。
つまり鉄塔オタクの人たちにとって、あそこは聖域なのです。
そしてその4本脚のまんなかに立って上を撮った写真が「結界写真」。
下からを上を撮っているのですが、見ていると吸い込まれて落下していくような、
不思議な感覚があります。

そしてもちろん、鉄塔にもいろいろな「フォルム」があるようで、
それにひとつひとつ名前があるようです。
片寄り鉄塔、ジャミラ、門型鉄塔、引き留め鉄塔、階段鉄塔、耐張鉄塔、そしてドラキュラ鉄塔など。
なんか、わくわくしません?

でも世の中の流れは鉄塔にもおよんでいるらしく、
鉄でできた塔がだんだん造りかえられて、
最近のは白いコンクリの柱みたいのが多くなっている。
さらに送電線を地下に埋めることも多くなっている。
つまり鉄の塔は絶滅危惧種になりつつあるということです。

鉄塔なんて今までまるで関心がなかったけど、
なくなるんだと思うと、かわいく思えてくるから不思議です。
これから道を歩くときは、たぶん鉄塔が目に入ってしかたなくなるかも。

ここまで書いてきてやっぱり気になるのが電磁波のこと。
さまざまな鉄塔写真を見ていると、
普通の家のすぐとなりに大きな鉄塔が建っていたりして、
あの家に住む人たちは頭痛や不眠や不妊になやまされていないだろうか?
なんて心配になったり、
送電線を地下に埋めたりしたら、電磁波被爆がひどくなるんじゃないかなんて、
やっぱり心配になったりします。
で、少し調べてみたら、こんなサイトがあって、
http://www.jca.apc.org/tcsse/kaiho/kaiho-28/kaiho28-15.html
なるほどね、やっぱりね。

わたしも1ヶ月ほど前、寝室の枕元から50センチほど離れたところに、
たこ足配線のコンセントがあるのに気づいて(おそい!)、
以来、そのおおもとの電源を抜いて寝るようにしたら、
夜中に目覚めることがなくなった、という体験をしているので、
電磁波はあなどれないと思いました。

でも、鉄塔オタクの人たちは、
たぶん電磁波をかぶると、
ほうれん草を食べたポパイみたいに元気になるのではないかしら。
何かを好きなときのエネルギーって、そういうものですよね。
by homeopa | 2009-11-29 09:48 | 風景