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タンパク質の一生

「タンパク質の一生」という本を読みました。

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タンパク質といえば、
私たちの身体の重要な構成要素であり、
私たちの生命活動をさまざまな面で支える物質です。

それが食べ物というかたちで身体にとりこまれ、
アミノ酸に分解され、
アミノ酸から再びタンパク質がつくられ、
役目を終えたタンパク質が壊されて再びアミノ酸になり、
必要なアミノ酸は再びタンパク質につくりかえられ、
余分なアミノ酸は身体の外に排出される。

というタンパク質の輪廻転生を説明した本です。

どこのだれだか知らないけど、
よくもまあこんなに複雑で緻密なシステムを考え出したものだ、
と思うようなタンパク質の生い立ちや働きを、
あっぱれなほどわかりやすく説明しています。

とはいえ、題材そのものが複雑で緻密なので、
一度読んだだけではとても把握しきれません。
とくに私の単純で粗雑な頭脳では。

しかし単純で粗雑な頭脳でも感動できた部分があるので、
それを書きとめておきます。

タンパク質は5~7万種類あるといわれている。
20種類のアミノ酸が100~500個組み合わさって、
ひとつのタンパク質ができる。
タンパク質の再生に必要な情報はDNAに記録されている。

DNAの鎖は46本の染色体というかたちで、
細胞の核におさまっている。
この46本のDNAを全部つなぎあわせると、
約1.8メートルにもなる。

人間の身体にはだいたい60兆個の細胞がある。
1.8メートル×60兆=1000億キロメートル
つまり私の身体の中には、
1000億キロメートルの長さのDNAがあるということ。
1000億キロメートルとは、
太陽と地球を300往復する長さだそうです。
われながら、すごいかも。

細胞の直径はだいたい100分の1ミリ程度。
そんな小さな細胞の、さらに小さな核の中に、
1.8メートルものひもをおさめる方法は下のとおり。
ヒストンというタンパク質の円柱にDNAを3回巻きつけ、
別のヒストンに3回巻きつけ、さらに別のヒストンに。。。
と繰りかえし、ヒストンの連続がクロマチンというひもになり、
それをさらにらせん状に折りたたみ、
それをまた幾重にも巻いたものが染色体になる。
なるほどね~。実感ないけど。

タンパク質はすべてDNAの遺伝情報にもとづいて生成される。
細胞分裂のたびに、
上の糸巻きを逆順序でひとつずつほどき、
DNAの情報をよみとってから、
またひとつずつ糸を巻いてDNAがこんがらがらないようにする。
きちょうめんだな~。私じゃないみたい。

1個の細胞の中には80億個のタンパク質がある。
そのうち毎日2~3パーセントが新しいものに入れ替わる。
約3ヶ月で、体内のタンパク質はほぼすべて入れ替わる。
細胞レベルでも、1年で全細胞の90パーセントが入れ替わる。
じゃ、1年前のあの私は、もう私ではないってことね。
なんだかうれしい。

ところがところが、
神経細胞は再生しない。
(最近は、分裂能力をもつ神経細胞も存在することが
わかってきたらしいが、その大部分はすぐ壊れるらしい)
神経細胞は再生しない分、寿命が長いが、
60歳をすぎると毎日20万個が死んでいく。
ふむ。なぜか実感がある。。。。

ともかく、自分はたいした人間じゃないけど、
たいしたシステムを身体の中に備えているんだって感じるには、
とてもいい本だと思います。

「タンパク質の一生---生命活動の舞台裏」 永田和宏著 (岩波新書)
by homeopa | 2009-04-06 22:55 | 身体のこと