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真夜中の怪音---- 寝返りのために

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ここ1年ぐらい、午後10時に布団に入っても、
午前1時ごろと、午前3時ごろに、
かならず目が覚めるようになった。

尿意や、おなかの張りや、あちこちの痒みや、
今は暑さなどの不快感で目覚めることが多いのだが、
そういうはっきりした理由がなくても、
なんとなく不快で、落ち着かない気分で目覚めることもよくある。

たいていはトイレに行って、水を飲んで、また横になるとすぐ眠れる。
でもときにはそのまましばらく眠れないこともある。

いやだなあ、朝まで通して眠れないのは。
これを不眠というのかなあ。

なんて一時期は思ったりしたけど、
あるとき気づいた。
これは寝返りの代わりなんだと。

左わきの下のセッチャンが大きくなってから、
左側に寝返りを打つことはできなくなった。
ときどき右側に寝返りを打つととても気持ちがいいのだけれど、
問題はそのときの左腕の位置で、
その位置がセッチャンを圧迫したり、
その姿勢がしばらく続いたりすると、
セッチャンが文句を言いはじめる。

だから基本的に眠るときはずっと仰向けのままだ。

こんなふうに睡眠中ずっと同じ姿勢をとり続けることは、
動物にとって非常に不自然な状態らしい。
ある整体師の本に書いてあったような気がするけれど、
人間は昼間にかかった身体への負担や、それによる身体のゆがみを、
夜間の寝返りによって修正したり解消したりするのだそうだ。

だからずっと仰向けで寝ているわたしに、
「そろそろちょっと動いてよ~」といって身体が要求するのだろう。
実際、起きあがって、歩いたりなんだりして身体を動かしたあとは、
落ち着いてよく眠れる。


最近は、左脚に体重をかけられないので、
トイレに行くには杖をついてキッチンを横切るのだけれど、
木の杖がキッチンの床にあたると、コツン、コツンと音がする。
この前、そうやって歩いていて、急にむくむくと想像がふくらんだ。

うちの下の階には若いカップルが住んでいる。
さすがに午前3時にはぐっすり眠っているだろうけれど、
午前1時ならば、情熱的な夜の営みの最中かもしれない。
そのとき突然、天井から、
コツン、コツンという音が聞こえてくる。
女性のほうがそれに気づいて急に冷める。
「ねえ、何、あの音?」
果てる寸前の男性のほうは、
耳を貸す余裕もない。
「ああっ、もうおれダメ、ああ~、ああ~、あああ~~~~~!!!」

やっと平静な聴覚を取りもどした男性も、
音に気づく。コツン、コツン、コツン・・・
「上の人かな? 何やってるんだろう?」

「やだ、なんか怖いよ~」
女性は男性にしがみつく。
「確かに無気味だな。上の階のおばさん、この前階段で会ったけど、
 やたらにやせてて得体の知れない感じだった。身体が透けて見えそうな・・・
 脚はあったような気がするけど・・・」

「やめてよ~!」

ここまで想像すると、コツン、コツンをやめられなくなった。
歩いてもいないのに、わざと杖で規則正しく床をたたいたりして。

これで終われば、ある夜の不思議なできごとで終わるだろう?
「あれ、何だったんだろうね?」って感じで。
でももう少し感動?してほしかったので、
次の晩も1時ごろと3時ごろに、
わざと強めに杖で床をたたいてあげた。

でも結局のところ、
階下のふたりがどれほど感動していても、どれほど怖がっていても、
わたしには確かめようがない。
だから二晩で飽きて、
その辺にしまってあった椅子の足に着けるフェルトのようなものを、
杖の先っぽに接着した。
これで夜中の怪音はやんだ。

いたずらをしても相手の反応が見られないというのは、
ものすごくつまらないものだ。



下は、寝返りに関する参考記事。
     ↓
寝返りは健康のために必要だった





# by homeopa | 2016-08-27 16:49 | おもしろいこと