pimboke6

sakura

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今日だけは事故にあいたくないと思った。
出先で、パンツが裏返しだったことに気づいたので。


Safe Travels by Lisa Hannigan ♪






で、関係ないけどこんな本を読んだ。


「チェルノブイリの森-- 事故後20年の自然誌」
メアリー・マイシオ著(NHK出版)

放射線の人間への影響についてはあちこちで取りざたされているけど、
人間以外の生物への影響はどうなんだ?
と思って探しだしたのがこの本だった。

著者はウクライナ系アメリカ人女性で、
故郷のウクライナで原発事故が起こったときいてから一年間、
原発オタクのようになって図書館にかよい、あらゆる情報を集め、
2004年までのあいだに汚染された立ち入り禁止区域に十数回足をはこんで、
その地の汚染状況、動植物の状態、人間の営みを取材した。

たくさん調べただけあって、情報は豊富。
でもちょっと旅行記のような構成になっているので、
たくさんある情報がうまく整理されていない。
反面、読者のわたしも 「ゾーン」 と呼ばれる高度汚染地域に足を踏みいれたような臨場感がある。

何よりも印象的だったのは、
放射能汚染のために人が住まなくなったゾーンで、
草が茂り、木が茂り、鳥や野獣が元気に数をふやして生きていることだ。
人間がその場所で畑をたがやし家畜を飼って生活していたときには絶滅危惧種だった鳥までが、
事故後にどんどんふえていたり。
イノシシの生息数など事故前の10倍にもふえている。

これまでの調査によれば、
ゾーン内で哺乳動物や魚の変異体や奇形はほとんど見つかっていないらしい。
その理由は、変異体は生まれてもすぐに死んでしまい、
生き延びたものは放射能に対して抵抗力があるからかも、というのが科学者の推測。

湖にいるフナ400匹を調べたところ、
遺伝子の変化はいくつも見られたが、外見はまったく正常だった。
ナマズの研究でも、外見は正常なのに遺伝子に損傷があるものがあった。

放射能は生殖力を弱めるという説があるが、
無性生殖も有性生殖もどちらもできるミミズが、
事故後のチェルノブイリでは交尾をする率が高くなった。

事故直後には、枝のねじれた松とか、形の変な植物がよく見られたそうだが、
15年後のゾーンの植物は、
放射能に汚染された建物や機械などを埋めた場所以外では、
ふつうの形で繁茂している。
地下水の汚染はひどくなっているのに。

つまり人間以外の動植物にとって、
放射能の害は人間の害ほど大きくないということらしい。
あるいは、人間の害より放射能の害のほうが適応しやすいらしい。

前々から人間の害については思うところがあったけれど、
ここまでだったとはね。

でも考えようによれば、他の動植物が放射能に対してこれだけ適応性があるとすれば、
人間のなかにもそういう力はあるんではないか?

何はともあれ、いろいろと刺激される本だった。
放射能に汚染された日本はこれからどうなるのだろう、と考えるときに、
いろんな材料を与えてくれる本でもある。

「科学雑誌で記事を読んで詳細なメモを取り、それからチェルノブイリに出向いて自分の目でじかに
 見てみると記事がまったくの誤りかもしれないことがわかったのは、これが初めてではなかった」

と著者は言っている。

結局のところ、放射能のことについて、人間はほとんど何もわかっていないのだ、
ということがよくわかった。

で、この本から派生して、
こんな本も読んでみた。
かなり納得する部分が多い。
このことはまたあとで書こう。

「自然との共生」というウソ (祥伝社新書152)



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by homeopa | 2012-04-13 21:52 | 季節の花